TOTI SOLER
SAME

パコ・デ・ルシアに比肩する知られざる鬼才! シルビア・ペレス・クルス、ジェンマ・ウメットといったカタルーニャを代表する歌手たちに慕われ、"カタラン・ギター"とまで讃えられるギタリスト、トティ・ソレールが 1973年に残したECM的フラメンコ・ギター名盤が待望のアナログ復刻!

60年代からノバ・カンソ運動などカタルーニャ音楽シーンで活躍してきた当地を代表するギタリスト、トティ・ソレール。タジ・マハールとの出会いからブルースを学んだのち、セビージャの伝説的フラメンコ・ギタリスト、ディエゴ・デル・ガストールに師事。並行して地中海音楽、ジャズ、ロック、クラシックを吸収し、OM などのグループでの活動はプログレ・ファンにも知られている。

そんな時期に残した作品の一つが本作『TOTI SOLER』だ。カタラン・ギターの伝統にブルースのテイストが加わった冒頭曲に始まり、師であるタジ・マハールに捧げられたその名も "TAJ MAJAL"、木漏れ日がさすような美しいフラメンコ・インスト "D'UNA MANERA SILENCIOSA"、本作屈指のキラーチューンともいえるサイケ・ブルース・チューン "SEVILLA"...。フラメンコ・ギターの伝統にUSカリフォルニアの陽光を思わせる温かみ、抑制されたパッションが静かに迸る珠玉のギターワークが光る全9曲はどれも名演。ステレオタイプなフラメンコのイメージを覆す、実にインティメイト、それでいて多彩な音楽からの影響が垣間見えるその内容は、バーデン・パウエルからエグベルト・ジスモンチといったブラジリアン・ギター、さらにはラルフ・タウナーらのECM諸作にも通ずる魅力があると言えるだろう。スペイン現地でも1971年から72年にかけてパコ・デ・ルシアがジャズメンたちと録音したアルバム『SABICAS』『SMASH』に並び、後のフラメンコ・フュージョンの歴史を語るうえで外せないアルバムとして認知されているとのことである。